Vol.2

オリエント絨毯の品質表示/ 欧米での一般的な表記方法

 

手織り絨毯の価値や品質を表すバロメーターとして、欧米などの需要国で、一般的に用いられているのが、ノット数です。ノットとは、結び目のことで、ノット数とは、絨毯全体の結びの数をカウントしたもので、織り手間の尺度=労働単価=絨毯の価値を表す尺度として用いられます。また、また単位面積あたりのノット数の表示は、その絨毯の織り密度という品質のバロメーターとなります。

 

このノット数の表記方法は、用いる国の慣習によって異なってきますが、欧米で一般的に用いられているのは、 メートル法KPSMやヤード・ポンド法KPSIです。では、実際には、どのように使用されているのか…世界最古といわれるパズィルィク絨毯の解説を例にとって、その具体例を見てみましょう。

 

パズィルィク絨毯の解説に見る、品質表記の使用例

 

世界最古といわれるシベリア、アルタイ山中のパズィルィク古墳で発見された約2m四方の絨毯は、左右均等結び(トルコ結び)で277kn/inch2(4,290kn/dm2)、同位炭素測定方式による製作推定年代は紀元前5-3世紀。その西約180kmのバシャダルで発見された絨毯断片は左右非均等結び(ペルシア結び)で約300kn/inch2(4,650kn/dm2)、製作年代はパズィルィク絨毯よりさらに100年以上遡ると…以下略。という具合に用いられます、ここで用いられているknは結び、すなわちノット(knot)をあらわします。

 

◆織り密度の一般指標として用いられるーkpsiとkpsm

 

*kはノット(knot結び目)の略

*pはパーセント(percent、%)の略

*sはスクエア (square正方形)の略

*iはインチ(inch 2.54センチメートル)の略

 

*mはメートル(meter)の略

 

 ※kpsi=knot/square inch (or m)=ノット/スクエアインチ=1平方インチあたりのノット数

<例>  400kpsi = 400kn/in2(1平方インチあたり400ノット=2.54㎝四方に400の結び目があることを表します。)

 

◆メートル法による表示 —kn/m2, kn /dm2  Pk/dm2, Tk/dm2

 

メートル法では、平方メートルあたりだと数値が大きくなるため、平方デシメートルを採用する場合があります。Pk, Tk などはペルシア結び、トルコ結びの違いも同時に表記している場合の表記法。単位が記載されない場合もあります。

 

<例>  

600,000kn/m2 (1平方メートルあたり600,000ノット)

6,000kn/dm2 (10平方センチメートルあたり6,000ノット)

6,000Pk/dm2 (10平方センチメートルあたりのペルシア結び6,000ノット)

6,000Tk/dm2 ( 10平方センチメートルあたりのトルコ結び6,000ノット)

 

*knはノット(knot結び目)の略

*PkのPはペルシアの略、kはノットの略=ペルシア結び

*Tk はTはトルコの略、kはノットの略=トルコ結び

 

次回は、ペルシア絨毯についの解説です。